ひきこもりの大学生

医学部に行ってます。

顧みられない熱帯病

もし私が大手製薬企業の経営幹部だとしたら、NTDsに対しては 積極的に治療薬を開発し、 流行しているアフリカや南アメリカに供給を行って支援を図るとい うのが基本的な方針です。 それに関して問題となるのはやはり開発費であり、 一企業が大陸流行地域の感染者すべてに行き渡る量の治療薬を生産 するのは現実的に困難です。 よってまず国連などの世界規模の問題に対処しているような機関や 非営利組織に資金援助を仰ぎ、開発費を賄おうと考えます。 それが不可能で治療薬の絶対数が足りないようであれば、 流行地域にある都市部にのみ供給を行うことで、 少なくとも都市部での感染率を下げるという方法を取ると思います 。ただこのプロジェクトはおそらく慈善活動の類だと思うので、 提供先が世界的に見て貧困地域なのもあって現地では無償で配布、 もしくは格安で販売されることになると考えられます。 利益は当然見込めそうもないので、 当プロジェクトは国際的な慈善事業の資金力を以てNTDsの対処 にあたるというものであり、 そこに治療薬の開発技術のみの支援として参入するのが当社の役割 であると考えた方がいいと思います。そもそもNTDsとは、 人類の中で制圧しなければならない18の熱帯病と定義されるため 、同じ人類として熱帯地域に住んでいない者が、 熱帯地域の人々から搾取するという真似は、 対象を金儲けの手段として見ていると考えられてもおかしくない非 人道的な行いかもしれません。 よってこの問題が日本の一企業を主体として提起されているのが間 違っており、 国連などの世界的機関が問題解決の手段としての製薬を当社に求め ているという状況から話が始まらなければならないと考えます。 そうであると仮定した場合、 当社は惜しみなくその製薬技術を国連主体の熱帯地域支援チームに 提供し、治療薬開発の一役を買って出ようと思います。 開発費に関しても国連からの支援が前提であるため、 問題は無いと考えられます。また、 このような世界的な慈善事業に参加したという功績は、 今後の取引及び契約に際して企業ブランドに非常に大きな影響を与 えるため、 企業経営を担う身としては千載一遇のビジネスチャンスであると捉 えることができます。 こう言うと金儲けの対象と見ることが非人道的であるという発言に 矛盾を来すと思われるかもしれませんが、 これに関しては慈善事業を行って得られる付随的な恩恵に過ぎない ため、 その結果企業経営がうまくいき利益を出すことができたとしても、 それは結果論として扱われることになります。 企業にしろ個人にしろ、 相互扶助の精神は生きていく上で非常に肝心です。