ひきこもりの大学生

医学部に行ってます。

レポート3 うつ病について

1.     うつ病には、脳にある扁桃体の活動が大きく関与しています。このうつ病が時代とともに増加してきた背景として、まず魚類から哺乳類にかけての進化があります。最初、扁桃体は魚類において天敵から身を守る部位として働いており、逆に長期間天敵に晒されることは扁桃体の活動を強め、うつ病を発症させることに繋がりました。爬虫類を経て哺乳類になると、脳をはじめとする身体の構造や周囲の環境は激変し、複雑な関係性を築くため、うつ病を発症する原因が増えます。チンパンジーなどの社会性を持ち集団で行動する生き物においては孤独もストレスの原因となり、加えて猿人(アウストラロピテクス等)になると肉食動物に襲われるなどの恐怖の記憶が原因となり、うつ病を発症することがありました。外敵から身を守るために群れを作り、社会性を発達させたことで、孤独に弱くなったと言えます。人間になるとブローカ野の発達による言語の獲得により、言葉によって恐怖を間接的に体験することができるようになり、これもうつ病の原因の一つとなりました。このように、人間は進化の過程で脳や身体、周囲の環境が大きく変化したため、うつ病の原因も増え、発症しやすくなったと言えます。
文明社会が誕生すると、狩猟採集社会と異なり貧富の差が生じたため、うつ病の原因も多様化することになります。そもそも狩猟採集社会では、人間は獲物を分け合い不利益の生じることのないよう支え合ってきたため、不平等に起因する対立や争いは起こりませんでした。ところが文明社会に移行し富の蓄積という概念が生まれたため、持つ者と持たざる者という構図が出来上がり、平等性は崩壊することになります。人間はその環境で争いや競争を経験し、妬みや孤独などを感じ、損得を意識するようになったため、うつ病の発症に拍車をかけることになりました。この社会の複雑化に準じて起こる人間関係の一変が扁桃体を反応させ、うつ病を招いたと言えます。
2.これを社会全体で克服するのには、実に様々な方法があります。まず進化の歴史を通して共通してうつ病の原因とされてきた天敵の存在ですが、少なくとも昨今の文明社会においては人間の脅威となるような生物はおらず、むしろ人間同士の対立や戦争こそが我々が最も危惧し、恐怖を覚える対象なのではないかと思います。これを克服するにあたっては世界の一体化が必要不可欠であり、危険な動きを見せる北の国や中東諸国の問題を解決し、核を放棄するなどといった、一刻も早い世界平和に対する努力が必要です。つまり、社会における不要な対立を避け、和平を試みる寛容な姿勢こそが全ての人に求められているのだと思います。次に、孤独を減らすためには人同士の社会的な結び付きを強めることが必要とされ、昨今問題となっている自宅警備員など社会的孤立を深めている人達に加え、職場における人間関係に悩みを持ち、孤立を感じている人達に対するケアが重要となります。特にストレス度合いの高い営業職や事務職、非技能職においては労働環境の見直しが必要とされ、誰もが人間関係に悩むことなく満足して仕事に取り組める、アットホームな職場を目指すことが重要です。同時にあらゆる職種における競争原理、成果主義についてもうつ病の根本的な原因になると考えられ、社員に過重なプレッシャーを与えないようにすることが会社、ひいては社会全体における課題なのではないかと思います。これは国や地域の制度の問題なので、我々は有権者として積極的に政治に関わり、日本の行く末を託せる立候補者を選んでいくことが重要だと考えます。また、うつ病の原因が少ない文明社会以前の人間本来の暮らしを取り入れることも必要であり、定期的な運動や生活習慣の改善が挙げられます。前者は萎縮した脳の神経細胞を再生し、後者はストレスホルモンの分泌を安定させる効果があるので、これらを日常生活で意識した生活を送り、うつ病の発症を防ぐことが重要です。既にうつ病を発症している人もこの事を心掛けて身体機能の修復を図り、健全な状態で仕事等に取り組めるよう社会全体で支援していくべきだと思います。