ステチルの大学生

医学部に行ってます。

医大行きてー

 医学部と一口に聞くとガリ勉集団の溜まり場のように思われますが、実は少し違います。彼らは医療を通じて人を助け、この国の先端技術に貢献しようという上昇志向を持った誉れある逸材です。そのようなリア充ばかりの空間に私のような輩が参入するのは如何なものかと思われますし、私も以前まではそう思っていました。それではなぜ私が医大に行きたいと思ったかですが、まず医学云々言う前に地理的な要素で決めたと言っても過言ではないでしょう。

 そもそも私は、前までは阪大志望でありました。しかし、度重なる内憂外患によってその志望は打ち砕かれ、はるか西国へと左遷されるに至ったのであります。コロナ感染者多数、南海トラフ、関西弁、おばちゃん。これだけの不安要素があってどうして阪大を受けましょうか、いや受けません。これで故郷を巣立つ選択肢は失われました。上京するのもひとつ、故郷に籠るのもまたひとつ。homesickまでとは言いませんが、単純に未開の地に足を踏み入れるのに畏怖の念を覚えたと言いましょうか。

 また、それまで志望していた工学部を変えたのもそんな理由です。まあ私立で結局工学部は受けるし、志望順位が下がっただけです。そもそも工学部に行っても自分が何してるか想像つきません。石黒浩のようにアンドロイドを作っている自分、どこかの誰かみたいにロボットを作ったり、自律神経搭載の機械や人造人間を作っている自分等。結局工学部とはロボットを作る場所なのでしょうか。違います。工学とは自分で思っている以上に多岐にわたり、応用範囲も様々です。電子工学の部類に入るロボット作りですが、日夜無機質な鉄屑と相対し、神経をすり減らす無意味な日常が容易に想像できます。いつか自分の作ったロボットが世界征服するという、ターミネーター的な展開も待っているかもしれません。その時はタイムマシンで過去に溯る必要が生じますが、もはやその領域のこととなると工学という分野に委ねられるのでしょうか。光速度不変の原理に則り、いつか人類が光速を超えて時間旅行する日がやってくるとすれば、待ち遠しくもありますし不安もあります。時間を遡るということは過去を否定し新しい現実を創り出すのと同値です。この大きなる宇宙にパラドックスを生じさせ因果律をねじ曲げるようなことがあれば、その代償は何によっても支払われないでしょう。話が逸れました。

 医大に行くのに避けて通れないのが「面接」であります。一般だろうがなんだろうが、医学部受けるやつは皆これを受けねばならず、ここに於いて問題児と見なされた場合は入試でどれだけ点を取ろうと落とされるらしいです。なんという不条理でしょうか。しかもそんなクソ面接のためには言わずもがな準備が必要で、その分試験勉強の時間が削がれます。非効率極まりない上にその恩恵の少なさ。まるでにゃんこ大戦争でビッグバンに挑む前に「謎の仮面」を発動させるように、必須にも関わらずやる意味あるかそれ的な事させられるわけです。医者のiの発音記号さえままならない段階の受験者に一体何を求めるのか甚だ理解しかねます。それもそのはず、人命を預けるという責任重大な議論が議論であるがため、その資質たる人材か否かを見極めるのにどうしても必要なのでしょう。因みに私は専ら不得意です。

  以上のように、医者とは高収入で人生安泰を約束された、勝ち組の職業です。そのような不純な動機も志望理由の7割ほどを占めますが、残りの3割は前述した通り地域貢献という崇高な目的があってのことです。つまり県から出たくない、引き篭っていたいということです。もちろん人を助けたいとも思ってます。人の命を預かるという責任重大な役目は誰しもが任されるわけではなく、そのような選ばれし者になりたいと思ったのであります。