スマホを我が買いたる天体望遠鏡に押し付けて、ちつとも動かさずシャッター切って撮ってんげり。
古代から日本人は、月に風流心を寄せ、月と共に時を過ごしてきました。藤原道長は一門の栄華を月に見立てて詠み、数多の歌人も月を題材とした美しき歌を詠んで参りました。しかし実際に高倍率で見てみると、月とは美しいどころかクレーターでボコボコの醜い天体でありました。これのどこに風流心が見いだせるのか些か疑問であります。しかし、人々が静かな夜を月と共有し趣を感じてきたのは事実。月面着陸が可能となったところで、今までの風流心を捨て去るような日本人に生まれた覚えはありません。前言は撤回し、しみじみとした風情のある月を風流なものとして崇め奉ることを誓います。